良い本との出会いは、時として読者の価値観や世界観を揺さぶり、人生を変えるきっかけとなります。あなたも実際にそのような経験をお持ちかも知れません。

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 なんて、「ものみの塔」口調で書き出してしまいましたが(書いてて気持ち悪くなってきたォェェ(=д=;)、実際そうだと思います。「この本を読んでなかったら、今ここにいなかった!」なんて思う人はたくさんいるでしょうし、僕にもそんな本は何冊かあります。
 でも、恩師・KあるいはHもしくはB教官(←彼のハンドル。長い)曰く「その本には別に大したことが書いてあった訳じゃないんですよ。その時、あなたが何を考えていたか、背景としてどんな蓄積があったかが重要なんですね。…例えば、ここに水の入ったコップがあるとするでしょ。一滴ずつ水を足していったら、いつかはこぼれ出すでしょ。その、こぼれ出させた水は何のことはないただの一滴なんですね。これと同じように、人の価値観をがらっと変えたり、世界を広げさせたように思える『一冊』『一文』『一言』なんて大した意味は持っていない場合が多い。水がこぼれ出す瞬間のタイミングだった、それだけのことですよ。」
 この言葉、すごく印象に残っているんです。「わたし、この本に出会って人生変わったわ!」「この本を読んで世界がぱあっと拓けたんだよ!」なんて言う人がいますが、その『本』自体に意味があるんじゃなくて、その人がその本に出会うまでどんな生き方をしていたかが重要なんだと思います。
 大学の一つ後輩で、卒論で「人生の転機」をテーマにしようとしている学生がいました。「人は、二十歳前後に人生の転機を迎える」という仮説を立てていました。ゼミの中で彼女の発表を聞いたとき、僕はすぐにKあるいはHもしくはB先生の言葉を思い出したんですけど、彼女を含めゼミ出席者の大半は、「転機」と思えるような出来事を何か重い意味を持つドラマティックな事件、と捉えているようでした。そこで僕が、「コップの水」の話を持ち出したんですが、僕と同学年のKEN太郎だけが同意して、あとの人は「?」って感じになってました。

 例を挙げてみた方が良いでしょうね。じゃ、手っ取り早く僕の場合。
 僕は、エホバの証人の子供達のHome Pageが人生を変えるきっかけになった訳ですが、このサイトを見た人全員が人生を変える訳ではないでしょ。もしも僕がJWに関わったことの無い人だったら、見ても意味も分からなかったはず。もしも僕がゴチゴチの現役JWだったら、「サタンの罠めが!ゴルァ(`д')」で一蹴していたでしょう(笑)。つまり、このサイトを見たとき僕自身が、これまで築き上げてきたJW的人格と大学生活やゆっことの付き合いで出来はじめていた社会的人格の狭間で、ウラオモテ全開生活をしていた(破綻しかけていた)ってことが重要だった訳です。そこへ、サイトの情報がという一滴の水がポトリ…。

 その後、「転機」をテーマにした彼女の論文は、「転機」に思えるような出来事よりも「生き方」や「背景」ということに注目してインタビューを行う、といった感じにシフトしていきました。どうやら、僕の言いたかったことが落ちたんでしょうね。ウレシイウレシイ。 

 で、結局何が言いたいのかというと、良い本に出会う方法ってのは「より良く生きて、自分の視野を広げるエネルギーを蓄積させる」ってことに限ると思います。(ちょっとカッコつけすぎたなぁ…ι)
 あとは、ひたすら乱読。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるでしょ(笑)。(でも、これ、学生だから出来るんですよね。社会人になって分かりました。本読む時間なんて社会人にはなかなか取れん!)

 でも、最近思うんです。
 「JWののぞき穴」に来てくれる方は、僕の文章に共感してくださる方が多い。そんな人なら、僕の価値観を揺さぶった本に感動してくれるんじゃないかな、と。そんなわけで、このページを作ってみました。だから、これから紹介する本を読んで、「コップの水がこぼれる一滴」になるかも知れないし、別段心に響かないかも知れません。でも、まぁ、響いてくれることを願って紹介します。本当は乱読することをお勧めするんですが、そんな時間が取れない忙しいあなたのためになれば!と思います。

前置きが長くなってしまい申し訳ありませんm(_ _)m

***取り扱い説明***
上に挙げた本ほどJW色が濃い本です。
下へ行くほどJWには直接関係ない本です。


JW系サイトの大手「昼寝するぶた」が本になりました。ゆーじさんの波瀾万丈の人生、ものみの塔の矛盾、2世たちの苦痛などなど、情報が満載です。是非読んでみてください!


いわゆる「エホ証暴露本」は数多くあれど、これがベストだと思います。レイモンドの生涯を通して、ものみの塔というカルト組織の実体が垣間見えて来ます。「\3800?高い!」と思われる方は、JWICに要旨をまとめた文章「レイモンド・フランズ-エホバの証人最高指導者の人生の軌跡とその信仰」があるので、そちらを読んでみてもいいんじゃないでしょうか。でも、やっぱりこれは買って読んで欲しい。これを読んでも読み足りなければ、トップページリンクに設置してあるAmozonサーチで「エホバの証人」とでも打ち込んで検索してみて下さい。林俊宏、ウィリアム・ウッド、大泉実成etcが.山のように出てくると思います。あとは、大野キリスト教会の中澤啓介牧師に連絡するとか、引用文献で芋蔓式に辿っていくとか。(まぁ、ここに来る人の大半はそんな本を求めてないだろうけど)


言わずと知れた「エホバの証人の子供達のHome Page」の管理人・Ohyaさんの著作。「僕だけじゃなかったんだー!」「そうそうそう!そうなんだよ!!」って心の底から叫びたくなります。Ohyaさんも学校の先生なので、なんだか親近感があります。JW2問題に向かい合った本としては、草分け的存在。2世なら絶対に読んで欲しい本。


JWの他に、オウム、統一教会、ヤマギシズムなどのカルトの中で育った子どもたちに焦点を当てた本。「ああ、JWも『唯一誠の宗教』なんかじゃなく、新興宗教の一つ one of them に過ぎないんだな。」って思うのに役立ちました。以前米本先生にはメールを頂いたことがあるんですが、現在音信不通。元気してますか?>米本先生。


統一教会の幹部だった著者が、自らの経験を通して語るマインド・コントロールの手口と仕組み。マイコンからの救済方法も書いてありますが、2世にとっては難しいかも…。だって「マイコンされる前の自分」「取り戻すべき自分」ってものがないから。というわけで、これを読んだから即JWの価値観から解放される訳ではなかったけど、「JWもカルトだったんだな」って考えるきっかけになりました。訳者である浅見定雄も統一教会など新興宗教研究の第一人者。彼の著作も面白いです。訳者あとがきにちらっと名前の出てくるフランス人、パスカル・ズィヴィ氏とは面識があります。また、マインド・コントロールについて調べたければ、ハッサンの他に西田公昭が有名です。


エホバの証人Q&A昼寝するぶたで紹介されている「インナー・チャイルド」という文章があります。これが…ねぇ…。ものみの塔風に味付けされているので、ゆーじさんが警告する通り、少々危ないんですよ。で、「インナー・チャイルド」とか「アダルト・チルドレン」とかいう言葉に対してのスタンダードな知識を用意しておく必要があります。だからぜひ、アレを読む前にこの本を読んでみて下さい。斉藤学(さいとうさとる)はアダルト・チルドレン研究の第一人者です。彼、いろいろ本出してますが、どれを読んでも書いてあること一緒なので、この一冊を読んでおけばOKです。


ゆーじさんが「昼寝するぶた」で勧めている、悩みを解決させる本。ゆーじさんの紹介文はこちら。…実はまだ読み始めたばっかりで、読み終わってません(^ー^;)。でも、「これは良い本だ!探し求めていたのはこれだったんだ!時間をかけて読みたい!」と直感しました。そもそも、本を紹介しよう、と思い立ったのは、ゆーじさんが「道は開ける」を勧めてくれたからです。「ゆーじさんの心に響いた本が、僕の心をも響かせている!ならば、僕の価値観を揺さぶった本を紹介することに意味があるのではないか?」そう思った訳っす。


サブカルチャーと精神医学を結びつけるという興味深い視点を持つ著者。「今、ここにいるのは<本当の自分>じゃない。どこかに<本当の自分>がいるはずだ。そうだ『私探し』をしよう」という風潮が若者の間にあり、行き場のない『私探し』の旅に出てしまうことを危惧しています。「自分」とは、探すものなんかじゃない、つくるものだ!って思えるきっかけになりました。JWを辞め、人格的にすっぽり抜け落ちてしまった僕にとって支えになりました。


科学とは何か、オカルトとは何か、という問いに答えてくれた本。著者は生物学者。上に挙げた香山リカ「<じぶん>を愛するということ」とも共通している部分もありました。人間って決して科学万能では無いんだなと思いました。JW2世って、「宗教とは何か」みたいなことを考えなければいけないと思うんですけど、宗教にはウンザリなので、「オカルト」っていう方向からアプローチをしてみたんです。ちなみに僕って、荒俣宏「帝都物語」とか夢枕獏「陰陽師」とか、結構オカルト好きなんです。


著者である台湾人の頼氏は、盲人の父と重度知的障害者の母との間に生まれた「乞食の子」です。まだ年端もいかないうちから物乞いをし、障害を持っている両親、沢山の弟妹の面倒を見、苦学して自らの道を切り開いたという波瀾万丈な人生が描かれています。僕は、3回読んで3回泣きました。どんな不遇の立場に生まれても、精一杯努力すれば必ず運命に打ち勝つことができる。自分の生まれた境遇を決して恨んだり呪ったりしない。そんな彼の哲学に魅了されました。ああ、僕はいつになったら彼のように、自分の境遇を呪わないような「悟り」を得るのだろうか…。


以上、厳選10冊でした。


◇◇◇乱読ノスゝメ◇◇◇

 僕は決して多読なほうではなかったんですが、広く知識を必要とする心理学を専攻していたため、「広く」「浅く」本は読みました。で、そのときやっていた乱読法を紹介します。比較的時間に余裕のある方はやってみてください。

1.新書
 乱読者にお勧めしたいのは、新書を活用することです。比較的新しい情報が手に入りますし、その世界での一般常識がわかります。1冊\650前後なので、手軽に買えますし。
 僕が好きだった新書は
・講談社現代新書…読みやすい!心理学系に強い!ということでよく読んでいました。裏表紙見返しには、「現代新書既刊より」として「こんな本もお薦め」っていうのが何冊か載ってるんで、芋蔓式に読んでいくことも出来ます。ベージュの表紙。
・講談社+α新書…こちらも読みやすいです。社会人になってから現代新書からこちらのほうをメインにシフトしました。黄色の表紙。
・PHP新書…ちょっと難しい文章の本が多いですが、頭を鍛えてくれます。ワイン色の表紙。
・岩波新書…新書と言えばコレ、新書の代名詞ですね。比較的、難しめ(だと感じてました)。最近のは赤(濃いピンク)表紙、昔のは緑表紙。
といったところです。
 学生時代、暇があるときやっていた方法。
@2週間に一度くらいのペースで、大きめの書店に行く。(釧路だと丸井ブックセンターでした。)
A新書の棚をダーッと見る。
B「おっ」と思ったタイトルの新書を2,3冊購入する。
C飽きないように、買った本を平行読みする。

こんな感じでした。

2.公共図書館の利用
 みなさんは図書館ってスペース好きですか?僕は中学生くらいのときから好きでした。高校の時は、学校図書館の司書さんとかなり仲良くなりました。>>>今考えたら、あの高校で常識を持っている唯一の人だったなぁ。公共図書館にもよく行きましたよ。で、なんか知らないけど、僕の書いた読書感想文が、コンクールで全国まで行っちゃったくらいにして。佳作を頂き、副賞としてもらった図書券で確か宮崎駿の画集を買ったと思います。
 大学生の時は、大学図書館・市立図書館によく通っていました。司書さんってすごいですよね、探している本を速攻で見つけてくれるんですから。で、司書って職業に憧れた時期もありました。さすがに司書免許は持ってませんが、司書教諭免許をダブルスクーリングして取りました(エヘン)。
 図書館でもやっぱり書棚をダーッと見て、「おっ」と思う本を借りてました。
 最近の図書館ではバーコードで本を管理していて、本を借りるときにはバーコードがついた利用カードが必要になります。無料で作れるんですけど、なんか持っているとインテリジェントな雰囲気を味わえます(笑)。

3.古書店
 読み切った新書を売りさばく!
 ちょっと前に話題になったけど読みそびれていた、なんて本が廉価で手に入る!
 最近は近代的で大きな古本屋が増えてきましたが、「古書店」と呼ぶに相応しい感じの小さなお店が好きですね。決まって頑固な爺さんが店主で(笑)。

とまぁ、「時間はたっぷりあるけど、金がない」という学生だから出来る乱読術でした。 多くのJW2が大学に進学できるようになって、こんな風に乱読しながら、自分の世界観を広げていってくれればなぁと切望します。そして、いつか「コップの水をこぼれ落とす一滴」となる一冊に巡り会って下さい。















絶対に、「も」「め」以外は読まない、なんてことはないように!!!
…トイウオチデシタ。m(_ _)m

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